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第73回 「第18回党大会と習近平体制の今後」

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愛知大学現代中国学部教授 加々美光行さん(第1回)

本日のゲスト、加々美光行さんは、1944年生まれ、東京都のご出身です。
東京大学文学部社会学科卒業ののち、「アジア経済研究所」で長く中国研究け続け、
1991年から愛知大学法学部教授、97年には、愛知大学現代中国学部の初代学部長に
就任されました。ご専門は中国政治思想です。
『裸の共和国‐現代中国の民主化と民族問題』など、多数のご著書があり、
2005年には、第58回中日文化賞を受賞されています。
中国共産党第18回党大会が終了して、中国の新しい体制が決まった今、
現代中国分析の第一人者として知られる加々美先生のご意見を求める声は引きもきらず、
大阪、東京、そして名古屋と講演やシンポジウムなどでお忙しい加々美先生に、
ご無理を言ってご登場いただいた今回です。

 さて、加々美先生が注目した今回の大会での2つの発言がありました。
1つは、前総書記の胡錦濤の「海洋強国」、
2つ目は、今度総書記に就任した習近平の「中華民族の偉大なる復興」について、
「これは歴史上の大きな変化です」と。
まず1つ目の「海洋強国」。中国は歴史的に地続きの国境は強く意識したけれど、
海洋についてはそれほど関心を払ってはきませんでした。しかし今回歴史上初めて、
中国は太平洋に目を向けました。先生の分析によれば、その理由は2つ。
1つは日本の尖閣列島国有化問題と、ベトナム、フィリピンとの間にある
西沙、南沙列島問題での危機意識、二つ目はアメリカ・オバマ大統領が示した
「従来アジア5:ヨーロッパ5だった世界戦略の割合を、アジア6:ヨーロッパ4に変える」
というアメリカ世界戦略への反応です。
今まで中国の対アメリカ戦略は、国連の場での対応が中心でしたが、それを大きく転換し、
「太平洋をはさんで対峙する二つの大国」という認識を持ち、
「現在はアメリカの制海権が大きい」「それを何とかしなくては」というところから出てきた
言葉が「海洋強国」という言葉だという分析です。

2つ目の「中華民族の偉大なる復興」という言葉です。中国が経済発展や国際社会での
地位を高めて行くことで、中国国民の中には、自国への自信と誇りが増大し、
それがナショナリズムの衣をまとって噴出して来ています。
「その民意を中国共産党が汲み取ったということでしょう」という加々美先生のお話でした。
マスコミなどではそれほど大きく取りあげてはいないこの2つの言葉に注目して分析を
進める加々美先生のお話は、大変興味深いものでした。

来週もまた加々美先生のご登場いただき、今度は誕生した新指導部が率いる
中国に対し、日本はどう対応していったらいいのか・・・というお話をしていただこうと
思っています。どうぞお楽しみに!!!
 
               「チャイナ・なう」パーソナリティー 高野史枝



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