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第133回「これからの日中関係」

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先週は、加藤さんに「アメリカから見た日中関係」というお話をしていただきました。
今週はそれを受けて、いよいよ一番気になる「これからの日中関係を、いったいどう作っていけばいいんでしょうか」という核心部分についてお話していただきました。
参考になるお話が次々に出てきましたよ!

日本人はいま、中国・中国人を嫌っている状態ですが、アメリカは中国をどんなふうに思っているんでしょうか?

「アメリカは世界中のさまざまな国からやって来た人たちが作った移民社会・連邦国家です。
ですから、アメリカは中国へのナショナリズム的敵対心はありません。
日本は中国と距離的にも近く、付き合ってきた歴史も長い。前提条件が違うので、米中関係、日中関係を一概にいう事は出来ません。
ただ、これからの時代、アメリカは尖閣列島の問題もありますので、日本が中国との関係をどううまくマネージメントしていくかを注意深く見ています。
また、日本と中国がどう付き合っていくかが、国際的な評価につながるという空気が生まれつつあります。
しかしそこに注目が集まることで、日本の注目度が上がるのはけっして悪いことではないですね」

アメリカは中国と比較的うまく付き合っているようです。日本が学ぶそのコツはどんなところ?

「日本と中国がモメやすいのは、お互いに対しての期待値が高いからなんです。
日本は中国のことを“礼儀の国”なんと思っているから、乱暴な反日デモが起きたりすると、怒ってしまう。
アメリカは中国を『全然違う国』と認識していて、冷静に、理性的に対応しています。
ですからこのアメリカのやり方を学ぶなら
① お互いの期待値を下げる
② 「日本人と中国人は全然違う」と認識する
③ 感情的にならずドライに付き合う
という3つ。
これが出来れば、中国の振る舞いにいちいち『なんだよ~』と思わず、現実に対して冷静に目が向くのではないでしょうか。

中国と日本の友好関係は、戦争の間の一時期を除けば、それほど悪かったとは
思えないんですが…

「そうです。ここ100年を見ても、日本が中国の発展を強力に後押ししたことが2つあります。
① 辛亥革命(政治)
② 改革開放(経済)
の2つです。
辛亥革命で日本は孫文の援助をした。
膨大なお金を渡したり亡命を受け入れて手助けしました。
日本なしで辛亥革命が成功したかどうかわかりません。
改革開放でも、その実行者・鄧小平は日本へ見学に来て、その進んだ技術に感心し、『改革開放をもっと推し進めなくてはならない』と決意しました。
日本もその要請にあわせて政府ODA、日本企業の中国投資などで後押しをしてきました。
ですから日本は、これからの中国の未来に深くコミットしていく資格とミッションがあるのではないかと思います」

さてそれでは最後に、「日本が中国と仲良く、うまくコミットメントできる方法」
について、加藤さんのお考えをお聞かせください。

「3つあります。一つ目は先ほど言ったように、『中国への期待値を下げて付き合うこと』。
二つ目は『共同プロジェクトを沢山やっていくこと』。
学生時代、日中学生イベントをたくさんやりましたが、イベントの成功と言うような共通の目的があると、みんな協力して一生懸命やれるんですね。
エネルギー、環境、食の安全など、色々な問題に共通プロジェクトをたくさん作ることで、お互いの信頼関係を醸成できるのではないかと思います。
3つ目は『中国の中間層へのアプローチ』です。
中国の長期的な発展を考えるとき、収入や社会的地位がそれなりにあり学歴も高いこの層は、中国の安定剤であり起爆剤になり得ます。
しかし現在この層は現在多くの問題―環境汚染、食の安全、教育、医療、社会保障など―で悩んでいます。
悩んでいるのは真面目だからですね。
この層に、日本企業が積極的にアプローチすることが大事ではないでしょうか」






鋭い分析力と表現力を兼ね備えた加藤さんとのお話は、大変面白く、あっという間に時間が過ぎてしましました。
「来年もまた、この番組に来て下さい」と、約束をしていただきました。
ほんとうに、また来年も加藤さんのお話がお聞きしたいものです。




さて来週は、陶芸家で、現在は中国江西省景徳鎮市にある景徳鎮陶瓷学院客員教授の二十歩文雄さんをゲストにお迎えする予定です。
どうぞお楽しみに!

 (「チャイナ・なう」パーソナリティー 高野史枝)



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