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第128回「留学生の主張」日本語弁論大会に参加して

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 今年5月に行われた「留学生の主張」日本語弁論大会。
その名の通り、18人の各国(中国・韓国・モンゴル・ベトナム・チリ)の留学生が、日本で感じた様々な思いを日本語でスピーチしました。
私も大会に行ってお話をお聞きし、皆さんのお話の豊かな内容と、みごとな日本語に心から感心しました。
今日は大会の実行委員長、張鴻鵬さんと、大会で愛知県知事賞(最優秀賞)を獲得された金瑋婷(きん・いてい)さんのお二人をお迎えしました。

(ゲストのご紹介)
張鴻鵬(ちょう・こうほう)さんは、1976年生まれ、中国内モンゴルのご出身です。
内モンゴル大学外国語学部日本語学科をご卒業ののち、2007年に来日し、名城大学大学院法学研究科に入学されました。
現在は名城大学大学院法学研究科博士後期課程在学中です。
ご専門は国際政治史、日中近・現代史です。
今年5月に行われた第5回
「留学生の主張」日本語弁論大会の実行委員長を務められました。

本日もう一人のゲスト、金瑋婷(きん・いてい)さんは、1990年生まれ、中国湖北省武漢(ぶかん)市のご出身です。
2008年に武漢大学日本語学科入学、3年生の時に広島大学教育学部に1年間の交換留学をされています。
2012年に武漢大学を卒業され、北京外国語大学大学院日本語研究科入学、2013年8月に1年間の交換留学生として再来日され、現在は名古屋外国語大学大学院国際コミュニケーション研究科在学中です。
先日行われた「留学生の主張」日本語弁論大会では、最優秀賞の「愛知県知事賞」を獲得されました。

実行委員長は大変
実行委員長だった張さんの大事な役割は、体験を話して下さる留学生を集める事。
大会の主催者、日中文化協会からの依頼が来たのが2月だったので、「ちょうど留学生がいない頃で(中国なら春節の頃ですね)、なかなか参加者が集まらず、大変でした。
また同時に当日聞きに来てもらえるよう宣伝も必要でした」と、人集めの苦労があったようです。
しかし当日のスピーチを聞いて、「やってよかった!」と思われたそうですよ。
来日されてまだ1~2か月というような留学生も参加されていましたが、そんな来たばかりの方たちは、日本に対しての見方が新鮮で興味深かったという事でした。

無心で優秀賞を獲得
愛知県知事賞(最優秀賞)を獲得された金さんは、
「これは私が日本に来たばかりの時の体験です。その時感じた自分の気持ちをシェアしたいと思って参加しました。でも、こんな身近な事でも原稿にするのは難しく、日中文化協会の方の力を借りましたが、『よく出来ているよ』といわれてほっとしました。でも、原稿が出来上がったのは大会の前日でした」と、
「滑り込み」で出来上がったと笑っていました。
それなのに最優秀賞を獲得されたんですから、お見事ですね。
金さんは、舞台ではほとんどあがらなかったようですよ。
「私の前の人たちがすごく上手だったので、自分が賞を取れるなんて思ってもいませんでした。
ただ、自分の伝えたいことを伝えようと思っただけです」
その無心な気持ちがよかったのかもしれませんね。

体験を伝えることが大切
実行委員長の張さんは、
「今回この役割を引き受けたことは、自分にとってとてもいい経験になりました。留学生のお皆さんが、自分の眼でみて、体験した日本のことを、周りの人たちに正しく伝えて行くのは、自分の国と日本の友好関係のために、とても大事なことだと思います」
まさにその通りですね。

今回の大会で最優秀賞を獲得した金さんのスピーチ全文をいただきましたので、掲載いたします。どうぞお読みください。

<strong>「また今度」</strong> ご来場の皆様「今日は」先ず私の自己紹介をさせていただきます。私は北京外国語大学出身のキンイテイと申します。 現在名古屋外国語大学で学んでいます。今日は「また今度」と言う題名でお話します。 私は二年前広島大学で留学生活をおくっていたとき、日本人のAさんと、一緒に世界遺産である宮島に行ってきました。 別れ際に、私はAさんに「すごく楽しかった。案内してくれてありがとう」と言い、Aさんも「こちらこそありがとう。 また今度一緒に遊ぼう」と答えてくれました。 あまりの嬉しさに、私は「いいね。今度はいつがいい?」と尋ねたら、Aさんは困ったような顔をしていました。私はAさんが「また今度一緒に遊ぼう」と言ってくれたのに「何で嘘をついたの?」と理解に苦しみました。 私は何回も「是非うちに遊びに来てください」とか「また今度一緒に遊びたい」などと言われたことがありますが、その「今度」がいつなのか、なぜいつまで待っても、その「今度」が来ないのか、困っていました。 それは、中国では、もし友達同士が「また今度一緒に遊ぼう」と言ったら、その言葉は約束だとされる場合が多いからです。 そもそも「また今度」といった言葉は曖昧な意味として使わないのです。 その時、私は日本人と接する勇気を失い、その悩みを抱えたまま、日々を過ごしていました。ある日、やっとチャンスがあって、日本人の友達にそれについて訊いてみました。  友達はこう答えてくれました。「また今度」と言うのは、嘘ではなく、相手との関係には終わりがなく、今度会ったら、「おはよう」と言うぐらいの関係をこれからも続けていきたいという気持ちを表したいのです。 「また今度」は誘いよりも、「この間一緒に遊んで楽しかったよ」という気持ちや感想を伝えているそうです。 具体的な日時を訊かれて困るのは、バイトのシフトや、お金などによって、約束したのに、結局行けないこともあるので、相手を失望させないよう、むしろ最初から具体的な約束をしないほうがいいと無意識のうちに思っているからです。 本当にまた遊びたいときは、「私はここら辺あいてるよ」とか言って、相手の予定を訊きます。 「また今度」というのは外国人の私たちにとって、時には難しいかもしれませんが、それは嘘ではなく、摩擦を起こさず、円滑な人間関係を保つための言葉だということが分かりました。 「入乡随俗」という中国語の諺があります。日本語では、「郷に入れば郷に従え」という意味です。 「建前」の多い日本の文化の中で暮らすことは、私たち外国人にとって負担になることもありますが、日本文化をよりよく理解するために日本に来たのです。 これから、このような日本文化の中で日本を理解し日本人と仲良く接していこうと思っています。 ご清聴ありがとうございました。

いかがでしょうか。思わずクスリと笑ったり、なるほどと感心したり…
外国人である留学生の「思い」が、よくおわかりになったことでしょう。
来週もまた、張さんと金さんのお二人にご登場いただきます。
来週は、留学生としてのご自身について、いろいろお聞きしたいと思っています。
どうぞお楽しみに!


 (「チャイナ・なう」パーソナリティー 高野史枝)



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