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第115回「中国研究者として」(第2回)

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中国研究者 広中一成さん

 先週は、中国研究者の広中一成さんが出版された本、「ニセチャイナ」について
興味深いお話をお聞きしました。番組へも「ぜひ読んで見たい」というメールが
いくつか届いています。
今日はもう1週広中さんにご登場願って、中国研究者としてのお話をしていただきました。

 まず、広中さんが中国に興味を持たれたのは、いつごろ、どんな理由だったのかを
お聞きしました。
「以前から日本史に興味があり、愛知学院大学文学部歴史学科に入学しました。
3年生のゼミ選択の時、日本史のゼミに並んだけれど、すごく人が多く、その隣の
東洋史の人が少なかったので、ここの方が自分の色が出せるかな…と思って
急遽変えました(笑)」
結構偶然に選んだコースだったんですが、実はこれが大正解、愛知大学の
三好章先生との出会いもあり、愛知大学の大学院に進んで研究者としての道を
歩み始めた広中さんでした。
2006年から2008年に文部省の試験を受けて、天津の南開大学へ留学、
そこで中国語を学ぶとともに、中国各地の資料館をめぐって、「ニセチャイナ」の
基になる傀儡政権の資料を集めて回り、論文を書かれました。

 日本に帰って間もなく、愛知大学現代中国学部の三好教授の伝手で、
梶野渡さん(日本軍陸軍曹長・占領地域での宣撫工作担当)のお話を聞き、
保存されていた膨大な写真をもとにまとめた本が
「華中特務工作秘蔵写真帳~陸軍曹長梶野渡の日中戦争」です。
続いて、傀儡政権と接触しながら日中戦争の終結を目指す活動を続けた
今井武夫さんの資料をもとにした「日中和平工作の記録~今井武夫と汪兆銘・蒋介石」も
出版されました。
今までの日本史(中国史でもそうかもしれませんが)、こういう活動に従事した日本人や、
広中さんのご専門の傀儡政権の人々は、ひと括りに否定されがちで、研究もされずに
切り捨てられてきたのではないでしょうか。
広中さんは、「歴史はよくわかるようなことだけでなく、色々な角度で見て、光を当てて
行かないと全体像がわからないのではないかと思います。」と、お話されました。
まさにそれこそ研究者の使命であり、醍醐味なのかもしれませんね。
現在広中さんが興味をもって取り組んでいる研究活動は、ご自身の住む
東三河の戦争体験者の聞き書きです。戦争体験者も既に80代後半、
今のうちにやっておくべき価値ある研究ですね。

まだ35歳という若さながら、ご自分の研究方向をしっかりと見定め、本の出版を含めた
業績を積み重ねられている広中さんですが、この番組を聞いている方の中で、
「研究者って面白そう、なってみたいな…」という方へのアドバイスをお願いしました。
「何より自分が“面白い”と思え、関心と興味がもてるテーマを見つけることです。
そのためには先輩研究者に積極的に接して行ったり、人の話を聞きに行ったりする
フットワークの軽さが必要だと思います。もちろんこもって研究を続ける時間も必要
ですが、外に目を向けて動くと、色々な人や物に出会えます。」
この日も、関東地方の戦争体験者の話を聞きに行った帰りだという広中さん、
日本はもちろん、中国にも気軽に出かけ、研究の幅を広げていらっしゃるご様子を、
頼もしく感じました。

先週と今週は、若手の中国研究者で、傀儡政権についての本「ニセチャイナ」を
出版された広中一成さんをお迎えして、興味深いお話をお聞きしました。

来週は、アフリカのマラウイで、青年海外協力隊の一員として活動しながら
エイズについての歌を作り、マラウィで大ヒット、有名人になった山田耕平さんをゲストに
お迎えします。愛知大学現代中国学部の卒業生、山田さんは、ニューズウィーク誌の
「世界が尊敬する日本人100人」にも選ばれています。
山田さんからは、どんなお話が伺えるでしょうか。
果たして中国とはどこで関連するんでしょうか。とても楽しみです!

          「チャイナ・なう」パーソナリティー  高野史枝



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