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第103回「中国の交通状況とその改善案」(2回目)

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清華大学自動車工学部 学部長 李克強さん

先週に続いて今週も、ゲストには清華大学自動車工学部教授、現在学部長の
李克強さんのご登場です。先回お話したように、中国の李克強総理とは、同姓同名の別人です。
 今日は、私自身の体験からお話の口火を切りました。以前北京に住んでいた2008年に、
北京の北西部にある五道口というところから南西約20キロぐらいの所にある豊台体育館と
いうところに行くためタクシーに乗ったら、大渋滞に巻き込まれ、なんと3時間もかかって
しまったという体験があります。
(大ファンの劉徳華コンサートに行ったんですが、コンサートに間に合わないのでは
ないかと思って泣きそうでした…)
李さんにそのことをお話しして、
「2008年から5年たった現在は、北京市の渋滞の状況はいかがですか」と
お聞きしてみました。
「現在でも、北京市で車に乗れば渋滞に巻き込まれることは少なくないです」というお答え。
「渋滞の原因が解決されていないからです」。
その原因とはいったいなんでしょう?

ひとつは車の増え方。現在の北京の車両台数は、何と500万台です!
中国のモータリゼーションの勢いは、想像を超えた早さだったんですね。
もう一つは、その車の増加に見合うような道路の作り方がされていないこと。
その他にも、交通情報の不備、信号が効率的に使われていないこと、また歩行者に
「信号に従って渡る」というような基本的な交通ルールを守ろうという意識が薄いことなどを
上げられました。

 北京市政府も、車を取得するときに必要なナンバープレートを抽選制にしたり、市の中に
入ってくる車輌を、日によって偶数、奇数に分けて制限したりと工夫を凝らしてはいるようですが、多すぎる車に対し、それほどの効果は上がっていないのだそうです。

そこで、李さんたちが研究を進めているITS(高度交通管理システム)などの先進技術が
重要になってくるんですね。
考えてみれば日本でも、ちょっと前までは交通渋滞はしょっちゅう起きていました。
それが現在はかなり解消されてきているんですが、李さんに
「日本の交通渋滞解消方法で、何か参考になることはありますか」とお聞きすると、
「いくつかあります」というお返事。
「まず、交通ルールを守るという教育です」。
確かに日本では、小学生のころから学校で「交通ルールを守ろう」という教育がなされて
いますね。
そのほかには法律の強化、カーナビの普及、ETCの導入などが参考になるそうです。
ETCの導入は、高速道路の渋滞緩和には、確かに効果的ですね。
このETCの導入は既に始まっているそうですよ。変わるとなると一気に変わるのが
中国の特徴ですから、もしかしたらアッという間に普及し、渋滞緩和につながるかも
しれませんね。

それ以外にも公共交通機関(地下鉄、電車)を増やす、交通管理システムの効率化、
先進交通技術の積極的な導入など、いろいろな方法を複合的に進めて行けば、
近いうちに中国の大都市の交通渋滞の解消は実現するかもしれないという見通しを、
李さんはお話になりました。
その先頭に立って、研究活動と政府に対しての提案を続ける李克強さん。
一層のご活躍を願っています!!

来週は、今年も内モンゴルのクプチ砂漠で行われた、愛知大学緑の協力隊
「ポプラの森」の植林活動。今年の隊長を務められた、愛知大学経営学部教授の
川井伸一教授をお迎えし、その時の体験をお聞きします。
どうぞお楽しみに!

「チャイナ・なう」パーソナリティー 高野史枝



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